金融機関に提供すべき資料は、試算表や資金繰り表といった財務帳票だけではありません。
経営計画(※ここでは利益計画を指します)も金融機関にとっては重要な判断材料となるのです。
今回はそれがどう融資に影響するかをお伝えします。
提供する経営計画の内容
3箇年、5箇年計画が望ましいですが、1年分の利益計画だけでも充分です。
注意すべきことは、実態に則った実現可能なものに限ることです。
そして、その計画をどう実行していくかの具体的な方法を記載する必要があります。
金融機関側は、経営計画ではこれから先どうなっていくのか
そして現状は計画通りなのかを知りたいのです。
金融機関の予想される反応
まず、経営計画を作成されている会社様が多くはないので
作成しているだけで金融機関側は下記のように評価します。
・しっかりと計画を立てて事業を営んでいる、将来のビジョンが描けている
・計画通りに進んでいれば、今後の計画も達成する見込みが高い
・数字に理解がある経営者である(計画の見直しや対策を行い
それに至った具体的な説明を行えば、このようにみる可能性が高い)
上記のように、経営計画を金融機関に提供するだけでプラスの判断材料として
良い印象を持たれる可能性が極めて高いです。
プラスの印象がどう影響するか、金融機関の事情①
金融機関では難しい融資判断をする際、支店長が担当者に
「君がお金を貸す立場だった場合、この会社、代表者にお金を貸すか?」
と聞くことがあります。
その時、担当者が経営計画の作成等といったプラスの判断材料を話し
良い印象を与えられれば融資の結果が変わることもあります。
支店長も迷う時が必ずあります。
その時には、何か後押しできる判断材料がほしいのです。
プラスの印象がどう影響するか、金融機関の事情②
まず、金融機関の融資業務フローは下記の通りです。
【1】担当者が稟議書を作成
【2】融資課長、次長が所見を記載
【3】支店長が決済
【4】支店長が所見を記載し本部へ稟議を回す(本部決済)
この際、【1】において担当者が融資をする企業の詳細を記載します。
【3】の支店長決済までなら、支店長も融資をする企業の事を分かっていますが
【4】になると、審査部にいる者が融資の可否を判断するので
上がってきた稟議書と決算書でしか判断してくれません。
そのため、本部決済の場合はどれだけ担当者が
【1】の内容を濃く、深くしてくれるかが融資の結果に影響します。
実際にあった事例
数千万円の融資案件で、本部稟議となった会社様がいらっしゃいましたが
その後の本部審査で否決となりました。
しかし、支店長が本部に足を運び、その会社様や代表者様の事
作成されている経営計画書の事等、稟議書には載りきらない細かい部分まで話し
交渉した結果、融資可決となったケースがありました。
このように、プラスの判断材料を提供しているのといないのとでは
明確な差が生じるケースもあります。
最後に
業績良好な会社でも融資金額が大きいものや金利が低いもの
期間が長いといった特別な融資を申し込む際は
ほとんどが本部稟議となります。
そのため、良い条件の融資を通してもらうために
経営計画を提供するのもいいかもしれません。
金融機関からの良好な評価を得るためにも、経営計画を作成し
取引金融機関へ提供することをお勧めいたします。