[相談]
私は、従業員数3名の会社で経理を担当しています。
これまで、毎月の給与計算は「税額表」を用いて手計算で行っていたのですが
従業員数が増加したことに伴い、新たに給与計算ソフトを導入することになりました。
今回、その導入後初めての給与計算を行ったところ、計算された源泉所得税額が
税額表の税額と若干の差異があり、その理由が分からず困惑しています。なぜでしょうか。
(例)社会保険料控除後の給与額が304,902円の人(税額表甲欄、配偶者・扶養親族等なし)の場合
- 手計算(税額表)による源泉所得税額……8,670円
- 給与計算ソフトで計算した源泉所得税額……8,780円
-
[回答]
- ご相談の差異については、導入された給与計算ソフトが「電算機特例」を用いて
- 源泉所得税額を計算しているために生じたものと考えられます。
[解説]
ご相談の差異については、導入された給与計算ソフトが「電算機特例」を
用いて源泉所得税額を計算しているために生じたものと考えられます。
[解説]
1.給与計算における源泉所得税額の2通りの求め方
給与計算を行う場合において、その給与から控除する所得税(源泉所得税)の額は
国税庁の「給与所得の源泉徴収税額表」(税額表)を参照して求めることができます。
また、給与計算ソフトを導入している場合には、税額表に記載されている税額によらず
「月額表の甲欄を適用する給与等に対する税額の電算機計算の特例」(電算機特例)
によって求めることもできるとされています。
2.電算機特例による源泉所得税額の計算過程
今回のご相談の場合、電算機特例によって源泉所得税額を計算すると
源泉所得税額は下記のとおり求められます。
① 給与所得控除の額……304,902円×20%+36,667円=97,647円
② 配偶者控除の額、扶養控除の額‥0円
③ 基礎控除の額……40,000円
④ その月の課税給与所得金額……
304,902円-(97,647円+40,000円)=167,255円
⑤ その月の給与から控除すべき源泉所得税額……
167,255円×10.21%-8,296円=8,780円
※各計算過程の詳細な計算方法は、下記の表をご参照ください。
なお、今回のご相談の場合における差異はそれほど大きくありませんが
給与額や控除対象扶養親族等の数が大きくなると
その差異が広がることがありますのでご留意ください。
また、給与計算ソフトによっては、源泉所得税額の計算方法を税額表によるか
電算機特例によるかを選択できるものがありますので
一度確認されると良いかと思います。