給与の支払いのない青色事業専従者を控除対象扶養親族とできるかどうか
[相談]
私は昨年、個人で衣料品販売店を開業し、生計を一にする妹(年齢20歳)を
青色事業専従者として届け出を行いました(届出給与額月額100,000円)。
しかし、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により売上が当初見込んでいた金額の
2割程度となってしまったため、結局、妹には昨年中1円の給与も支払うことができませんでした。
この場合、妹は私達の父など、生計を一にする他の親族の控除対象扶養親族と
なることができるのでしょうか。教えてください。
なお、昨年の妹には上記のほか、所得は一切ありません。
[回答]
ご相談の場合、妹さんは他の同一生計親族の控除対象扶養親族と
なることができるものと考えられます。
[解説]
1.青色事業専従者給与制度の概要
青色事業専従者給与制度とは、青色申告の承認を受けている納税者と
生計を一にする配偶者その他の親族(※1)で、その納税者の営む事業に従事する人
(青色事業専従者)が、その事業から所定の届出書(青色事業専従者給与に関する届出書)
に記載されている金額の範囲内において給与の支払を受けた場合には
その給与支払額をその納税者の事業所得等の必要経費に算入(※2)し
かつ、その青色事業専従者のその年分の給与所得とする所得税法上の制度です。
- ※1 年齢15歳未満の人を除きます。
- ※2 必要経費に算入されるのは、その給与の金額のうち、その労務に従事した期間
- 労務の性質及びその提供の程度、その事業の種類及び規模
- その事業と同種の事業でその規模が類似するものが支給する給与の状況等に照らし
- その労務の対価として相当であると認められるものに限られます。
2.控除対象扶養親族とは
所得税法上、納税者の親族(配偶者を除きます)等で
その納税者と生計を一にする人のうち、その年分の所得金額が48万円以下である人を
「扶養親族」といいます。
その扶養親族のうち、年齢16歳以上の人を「控除対象扶養親族」といい
納税者が控除対象扶養親族を有する場合には、その納税者のその年分の金額から
その控除対象扶養親族1人につき、原則として38万円を控除すると定められています。
ただし扶養親族からは、上記1.の青色事業専従者に該当する人で給与の支払を
受ける人を除くと定められています。
3.給与の支払いがない青色事業専従者の取扱い
上記2.で述べた通り、所得税法上の扶養親族の対象から除かれるのは
給与の支払いを受ける青色事業専従者です。
このため、青色事業専従者として所定の届出をした人であっても
その人が給与の支払いを一切受けていない場合には、他の要件を満たす限り
その人の同一生計親族がその人を控除対象扶養親族とすることが可能です。
したがって、今回のご相談の場合、妹さんは他の同一生計親族の控除対象扶養親族となることができるものと考えられます。
マイナンバーカードの健康保険証利用が始まりました
今年の3月に運用が開始され、その後、いったん運用中止となっていた
マイナンバーカードの健康保険証利用の本格運用が10月20日にスタートしました。
マイナンバーカードの健康保険証利用が開始されても
健康保険証がなくなるわけではないこともあり、普及率がまだ上がっていないようですが
デジタル庁では以下のようなメリットがあると広報をしています。
■主なメリット
現状の高額療養費制度の一般的な取扱いは、自己負担限度額を超えたとしても 自働的に適用されるわけではなく、被保険者が請求することで適用となり
また、医療費が高額になるときには事前に限度額適用認定証を発行する手続きを取る必要があります。
そのためマイナンバーカードを健康保険証として利用することで、手続きの簡略化だけでなく
高額療養費の請求漏れの防止にもつながると思われます。
実際の利用までにはマイナンバーカード発行のための手続きに加え 健康保険証としての利用申し込みが別途必要ですが、2023年3月末には概ねすべての医療機関などでの導入を目指して
厚生労働省は医療機関・薬局のシステム整備を支援しています。
デジタル庁「マイナンバーカードの健康保険証利用の本格運用がスタートしました」 |
テレビ電話ZOOMでの面談が可能になりました
ホームページを公開しました。
近江清秀会計士税理士事務所のホームページを公開しました。