優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置の適用を受けるための要件
[相談]
令和4年1月1日からの改正電子帳簿保存法施行にあたり、法人税申告について
いわゆる「優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置」の適用を受けるための
届出書を提出することを計画しています。
当社は、仕訳帳・総勘定元帳の他に、売掛帳や買掛帳などの帳簿も作成しているのですが
売掛帳や買掛帳などについては仕訳帳・総勘定元帳とは別の業務システムを使用しています。
社内で確認したところ、電子帳簿保存法上の優良な電子帳簿の要件を満たしているのは
仕訳帳と総勘定元帳を作成している会計ソフトのみであることが分かったのですが
このような場合、その法人は上記軽減措置の適用を受けることができるのでしょうか
[回答]
ご相談の場合、法人税について優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置の適用を
受けることはできないものと考えられます。
[解説]
1.優良な電子帳簿とは
電子帳簿保存法上の優良な電子帳簿とは
同法に規定する国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存をもって
その国税関係帳簿の備付け及び保存に代える電子帳簿のうち
電子帳簿保存法施行規則に定める要件をすべて満たした電子帳簿をいうものと定められています。
2.優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置
電子帳簿保存法上の優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置とは
上記1.の優良な電子帳簿に記録された事項に関し修正申告などがあった場合において
過少申告加算税が課されることとなったときは
その過少申告加算税の額を、原則として、国税通則法の規定により計算した過少申告加算税の金額に
5%の割合を乗じて計算した金額を控除した金額とするという制度です。
この優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置の適用を受けられるのは
「特例国税関係帳簿」に記載された事項に限られると定められています。
特例国税関係帳簿とは、国税に関する法律に規定する帳簿を指しますが
法人税の場合は、仕訳帳・総勘定元帳の他に売掛帳や買掛帳を作成している場合には
それらの作成している帳簿すべてが法人税法上の帳簿に該当すると考えられることから
それらの帳簿すべてについて
上記1.の優良な電子帳簿の要件を満たして保存などを行う必要があることとなります。
今回のご相談の場合、その法人が作成している売掛帳や買掛帳については
上記1.の優良な電子帳簿の要件を満たしていないとのことですので
その法人の法人税申告について過少申告加算税が課されたときであっても
優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置の適用を受けることはできないものと考えられます。