申告期限の簡易な方法による期限の延長が認められるようになりました
4.15までは申告書の余白に文言記載で延長OK
国税庁は2月3日,オミクロン株による感染拡大等に伴い,令和3年分の申告所得税等について
「令和4年4月15日」までの間,簡易な方法による申告・納付期限の延長を認めることを公表しました
新型コロナの影響で期限内申告等が困難な場合には
申告書の余白に所定の文言を記載すれば期限延長が認められます
同日には,簡易な方法の手続等をまとめた「国税の申告・納付期限の簡易な方法による延長に関するFAQ」
と「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」
も公表・更新されました
経緯
令和2年・3年の2月から3月にかけては,新型コロナウイルス感染症拡大に伴う
緊急事態宣言の発令期間と確定申告期間が重なること等から
申告所得税・個人事業者の消費税・贈与税の申告・納付期限が
全国一律で1か月延長されました。
令和3年分の申告所得税等の申告期限等については,一律延長の対応は執られず
申告・納付期限は,原則どおり,「令和4年3月15日(個人事業者の消費税は令和4年3月31日)」
となっています。
しかし,オミクロン株の拡大による感染者数が急増していること等から
「令和4年4月15日」までの間については,簡易な方法による申告・納付期限の延長が認められることとなりました
簡易な方法とは,新型コロナの影響により期限までに申告・納付等が困難な場合に
申告書の余白に“新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請”といった所定の文言を記載すれば
期限延長が認められるものです(e-Taxの場合も同様)。
具体的な延長申請の理由の記載は不要であり
「災害による申告,納付等の期限延長申請書(延長申請書)」の作成・提出は不要です
申告所得税等のみでなく,法人税や相続税などのその他の国税についても
簡易な方法による申告・納付期限の延長の対象となります。
また,所得税の更正の請求や青色申告承認申請などの手続も対象になります
ただし,対象となるのは,令和4年1月以降に法定申告期限等を迎える手続であるため
和3年12月末以前に法定申告期限等を迎えた手続については
延長申請書の作成・提出が必要となります
なお,簡易な方法による申告・納付期限の延長が認められるのは「令和4年4月15日」までであるため
4月16日以降も新型コロナの影響が続き,申告等ができなかった場合には
延長申請書の作成・提出が必要となります
給与の支払いのない青色事業専従者を控除対象扶養親族とできるかどうか
[相談]
私は昨年、個人で衣料品販売店を開業し、生計を一にする妹(年齢20歳)を
青色事業専従者として届け出を行いました(届出給与額月額100,000円)。
しかし、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により売上が当初見込んでいた金額の
2割程度となってしまったため、結局、妹には昨年中1円の給与も支払うことができませんでした。
この場合、妹は私達の父など、生計を一にする他の親族の控除対象扶養親族と
なることができるのでしょうか。教えてください。
なお、昨年の妹には上記のほか、所得は一切ありません。
[回答]
ご相談の場合、妹さんは他の同一生計親族の控除対象扶養親族と
なることができるものと考えられます。
[解説]
1.青色事業専従者給与制度の概要
青色事業専従者給与制度とは、青色申告の承認を受けている納税者と
生計を一にする配偶者その他の親族(※1)で、その納税者の営む事業に従事する人
(青色事業専従者)が、その事業から所定の届出書(青色事業専従者給与に関する届出書)
に記載されている金額の範囲内において給与の支払を受けた場合には
その給与支払額をその納税者の事業所得等の必要経費に算入(※2)し
かつ、その青色事業専従者のその年分の給与所得とする所得税法上の制度です。
- ※1 年齢15歳未満の人を除きます。
- ※2 必要経費に算入されるのは、その給与の金額のうち、その労務に従事した期間
- 労務の性質及びその提供の程度、その事業の種類及び規模
- その事業と同種の事業でその規模が類似するものが支給する給与の状況等に照らし
- その労務の対価として相当であると認められるものに限られます。
2.控除対象扶養親族とは
所得税法上、納税者の親族(配偶者を除きます)等で
その納税者と生計を一にする人のうち、その年分の所得金額が48万円以下である人を
「扶養親族」といいます。
その扶養親族のうち、年齢16歳以上の人を「控除対象扶養親族」といい
納税者が控除対象扶養親族を有する場合には、その納税者のその年分の金額から
その控除対象扶養親族1人につき、原則として38万円を控除すると定められています。
ただし扶養親族からは、上記1.の青色事業専従者に該当する人で給与の支払を
受ける人を除くと定められています。
3.給与の支払いがない青色事業専従者の取扱い
上記2.で述べた通り、所得税法上の扶養親族の対象から除かれるのは
給与の支払いを受ける青色事業専従者です。
このため、青色事業専従者として所定の届出をした人であっても
その人が給与の支払いを一切受けていない場合には、他の要件を満たす限り
その人の同一生計親族がその人を控除対象扶養親族とすることが可能です。
したがって、今回のご相談の場合、妹さんは他の同一生計親族の控除対象扶養親族となることができるものと考えられます。
令和4年度税制改正による、住宅ローン控除制度における中古住宅の築年数要件の廃止
[相談]
私は現在、賃貸住宅に住んでいますが、近いうちに住宅ローンを組んで
中古マンションを購入しようかと考えています。
ところで、最近の報道によれば、住宅ローン控除制度における中古住宅を
購入した場合の築年数要件が改正されるとのことですが
具体的にどのような改正がされるのでしょうか。
[回答]
令和4年度税制改正により、令和4年1月1日以後の中古住宅の購入については
従来の築年数要件が廃止される見込みです。
[解説]
1.住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)制度の概要
住宅ローン控除制度とは、所得税法上、個人が、国内において住宅の取得等をし
一定の期間内にこれらの家屋をその人の居住の用に供した場合において
その人がその住宅の取得等に係る住宅借入金等(住宅ローン)の金額を有するときは
原則として、その居住の用に供した日の属する年以後の一定年数の各年分の所得税の額から
住宅借入金等特別税額控除額(住宅ローン控除額)を控除する、という制度です。
2.現行税制における、中古住宅の取得についての住宅ローン控除の適用要件
上記1.の住宅ローン控除の対象となる住宅の取得等には
新築家屋の取得だけでなく、建築後使用されたことのある家屋(中古住宅)
の取得も含まれています。
ただし、現行税制では、中古住宅の取得について
その家屋が建築された日からその取得の日までの期間が20年
(マンションなどの耐火建築物の建物の場合には25年)以下であること
(築年数要件)等の要件が設けられています。
3.令和4年度税制改正による築年数要件の廃止
上記2.について、政府与党が令和3年12月10日に公表した税制改正大綱では
令和4年1月1日以後に取得等をした既存住宅(中古住宅)への住宅ローン控除の適用要件について
①築年数要件を廃止するとともに
②新耐震基準に適合している住宅の用に供する家屋であることを加える(※)とされています。
この改正により、令和4年1月1日以後の中古住宅の購入については
これまでよりも住宅ローン控除の適用を受けやすくなるものと考えられます。
- ※新たに加えられる予定の新耐震基準への適合要件については
- 登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日以降の家屋については新耐震基準に
- 適合している住宅の用に供する家屋とみなす、とされています。
改正電子取引 令和5年末まで書面保存を認容
令和4年度税制改正大綱で宥恕措置を明記宥恕措置の関係など今後の電子保存対応を詳報
12月10日令和4年度与党税制改正大綱が決定しました。
令和4年1月1日以後、検索要件等の保存要件を満たす形で電子取引の取引情報に係る
電子データの保存が義務化されますが、所轄税務署長への事前申請が不要な
宥恕措置の整備が同大綱に盛り込まれています。
同措置の適用によって、令和5年12月31日までは出力書面での保存も認められ
実質的にこれまでの出力書面又は電子データのいずれかを保存する方法が2年間継続することになります。
同措置は今月下旬に公表される省令等改正で手当てされる見通しです
手続不要で書面保存可,R6年以降は電子保存必須
令和4年度与党税制改正大綱で、電子取引について宥恕措置が示されました。
令和5年12月31日までの電子取引の取引情報に係る電子データについて
保存要件に従い保存ができなかったやむを得ない事情があり
かつ、税務調査で出力書面の提出等に応じる場合には
その出力書面での保存を認めるという内容です。
出力書面の保存に当たって「引き続き所轄税務署長への手続を要せず」とあるとおり
これまでの出力書面の保存をする場合と同様に手続不要で書面での保存が認められます
ただし、令和6年以降の電子取引においては同措置の適用はなく
保存要件を満たす形で電子データ保存が必要となります
個社状況に応じて宥恕措置を適用
宥恕措置の適用に当たって「所轄税務署長が電子取引の取引情報に係る電磁的記録を
保存要件に従って保存ができなかったことについてやむを得ない事情があると認める」
といった要件があります。この“やむを得ない事情”は、現時点で例えば
『システム整備の予算が確保できなかった』
『他業務との兼ね合いでシステム整備に時間がかかり間に合わなかった』
『社内ワークフローの整備が追いつかなかった』など
その企業の状況において対応が困難であったというのであれば
基本的にはやむを得ない事情があるとして同措置の適用対象になるようです。
つまり「事業者の実情に配意し」引き続き手続不要で書面保存を認めるものと
なるようです
また、同措置がなかったとしても電子データ保存に対応できず
書面保存をしていたことのみをもって、青色申告の承認取消しや
経費の損金算入が不可とはならないことを国税庁が明確にしています。
このことから、相応に間口が広い措置になるとみられています
コロナ禍で抑えておくべき財務指標
東京商工リサーチの調査によると、2021年上半期(1月~6月)の全国企業倒産件数は3,044件でした。
この数字は、過去50年間でバブル期(1990年)に次ぎ、2番目に低い水準です。
これは、新型コロナウイルスの感染拡大により業績が悪化した企業に加えて
コロナ禍以前より資金繰りに窮していた企業が
いわゆる「コロナ融資」を受けることで目先の資金を確保できた結果だと考えられています
ただし、「コロナ融資」はあくまでも延命措置です。
返済開始までに本質的な事業再構築を進めることができなければ
資金は枯渇し、倒産企業は急増していくことが予想されます
こうした事態を防ぐためにも
経営者は会社の生命線である財務状況を適切に把握した上で
先を見据えた経営戦略を描く必要があります。
今回は、コロナ禍で抑えておくべき財務指標についてお伝えします。
①売上債権回転率・・・売上高÷売上債権
売上債権回転率は、売上高を売上債権(受取手形+売掛金)で割って算出します。
これは販売した商品代金の回収速度を示すもので
回転数が大きいほど、債権回収の速度が速いといえます。
コロナ禍前の適正水準よりも数値が悪化している場合は
取引先の業績悪化などで取引条件通りの回収ができなくなっている等の可能性があります。
早めに適切な対処をするためにも、売上債権回転率は継続的に注意深く
観察する必要があります
②棚卸資産回転率・・・売上高÷棚卸資産
棚卸資産回転率は、売上高を棚卸資産(商品、製品、仕掛品、原材料などの合計額)
で割って算出します。
この比率が高いほど、商品や製品の売れ行きがよい、
また、売れ行きに見合った商品や製品を在庫として保有しているといえます。
同業他社との比較や、自社の過去の実績との比較などで
数値の変化を把握しておくことは重要です。
回転率が低くなっているような場合は、休眠在庫(スリーピングストック)や
不良在庫(デッドストック)が発生している可能性が高いため
早急に確認する必要があります。
③当座比率・・・当座資産÷流動負債×100
当座比率は、流動資産の中でも換金性の高い当座資産
(現金預金・受取手形・売掛金・有価証券等)を流動負債で割って算出します。
短期的な支払能力を図る指標であり
一般的に80%を下回ると資金繰りが苦しくなるといわれているため
活用していない固定資産を売却して現金化することや
借入金の借り換え(短期→長期)等を進める必要があります。
④借入金月商倍率・・・(短期借入金+長期借入金+社債)÷(売上高÷12)
借入金月商倍率は、借入金等を月商で割って算出します。
この指標は、借入金が事業規模と比較して多すぎないかどうかを判断する目安となります。
コロナ融資により、借入金が急激に増加した企業も少なくないはずです。
返済計画を見据えて、従来の運転資金を確保することができるよう
コントロールしておく必要があります
上記の財務指標を一度算出し
コロナ禍において自社の財務状況がどのように変化しているのか、確認しておきましょう
R3確定申告からふるさと納税の申告簡素化
R3確定申告からふるさと納税の申告簡素化
令和3年分の所得税等の確定申告から、ふるさと納税の申告手続における
添付書類が見直されます。
これまで原則として必要とされていた地方公共団体による寄附金の受領書に代えて
ふるさと納税のポータルサイトを運営する特定事業者が発行する
「寄附金控除に関する証明書」を添付して申告できるようになります。
団体ごとの受領書の保管等が不要に
ふるさと納税制度では、地方公共団体に対して寄附をした金額に応じて
所得税及び住民税の寄附金控除を受けることができます 。
寄附先が5団体以内の給与所得者(確定申告不要な場合)であれば
申告不要のワンストップ特例制度を利用できます
しかし、5団体を超える自治体に寄附を行った場合や
確定申告をする者がふるさと納税について寄附金控除を受ける場合には
確定申告書に寄附金の受領書の添付が必要とされています。
この受領書は、各団体から寄附ごとに発行されるため
複数の寄附がある場合には保管等の手間がありました。
しかし、
令和3年分の確定申告からは、寄附ごとの寄附金の受領書に代えて
ふるさと納税のポータルサイト等を運営する特定事業者が発行する
「寄附金控除に関する証明書」を添付することで
寄附金控除を適用できるようになります。
寄附者にとっては、利用したポータルサイトにおける年間の寄附を
一括して記載した証明書を取得できることになります。
対象となる特定事業者は,11月12日時点で14社です。
マイナポータル連携による証明書取得も可能
特定事業者が発行する寄附金控除に関する証明書には
寄附者の氏名・住所,年間寄附額,特定事業者が寄附を管理している番号
寄附年月日,寄附先の名称・法人番号といった事項が記載されます
証明書の取得方法は,利用したポータルサイト上での電子発行
マイナポータル連携での電子発行,又は郵送での書面発行等のうち
利用したポータルサイトが対応している方法から選択することとなります
給与計算ソフトを使用した場合の源泉所得税額の計算方法
[相談]
私は、従業員数3名の会社で経理を担当しています。
これまで、毎月の給与計算は「税額表」を用いて手計算で行っていたのですが
従業員数が増加したことに伴い、新たに給与計算ソフトを導入することになりました。
今回、その導入後初めての給与計算を行ったところ、計算された源泉所得税額が
税額表の税額と若干の差異があり、その理由が分からず困惑しています。なぜでしょうか。
(例)社会保険料控除後の給与額が304,902円の人(税額表甲欄、配偶者・扶養親族等なし)の場合
- 手計算(税額表)による源泉所得税額……8,670円
- 給与計算ソフトで計算した源泉所得税額……8,780円
-
[回答]
- ご相談の差異については、導入された給与計算ソフトが「電算機特例」を用いて
- 源泉所得税額を計算しているために生じたものと考えられます。
[解説]
ご相談の差異については、導入された給与計算ソフトが「電算機特例」を
用いて源泉所得税額を計算しているために生じたものと考えられます。
[解説]
1.給与計算における源泉所得税額の2通りの求め方
給与計算を行う場合において、その給与から控除する所得税(源泉所得税)の額は
国税庁の「給与所得の源泉徴収税額表」(税額表)を参照して求めることができます。
また、給与計算ソフトを導入している場合には、税額表に記載されている税額によらず
「月額表の甲欄を適用する給与等に対する税額の電算機計算の特例」(電算機特例)
によって求めることもできるとされています。
2.電算機特例による源泉所得税額の計算過程
今回のご相談の場合、電算機特例によって源泉所得税額を計算すると
源泉所得税額は下記のとおり求められます。
① 給与所得控除の額……304,902円×20%+36,667円=97,647円
② 配偶者控除の額、扶養控除の額‥0円
③ 基礎控除の額……40,000円
④ その月の課税給与所得金額……
304,902円-(97,647円+40,000円)=167,255円
⑤ その月の給与から控除すべき源泉所得税額……
167,255円×10.21%-8,296円=8,780円
※各計算過程の詳細な計算方法は、下記の表をご参照ください。
なお、今回のご相談の場合における差異はそれほど大きくありませんが
給与額や控除対象扶養親族等の数が大きくなると
その差異が広がることがありますのでご留意ください。
また、給与計算ソフトによっては、源泉所得税額の計算方法を税額表によるか
電算機特例によるかを選択できるものがありますので
一度確認されると良いかと思います。
年の中途で業務用不動産を購入し、支払った固定資産税相当額
誤った取扱い
年の中途で業務用不動産を購入するに当たり、不動産の売買代金とは別に
その不動産に係る固定資産税相当額を、所有期間に応じて月割で計算し
て売主に支払ったので、租税公課として必要経費に算入した。
正しい取扱い
業務の用に供される資産に係る固定資産税は必要経費に算入するとされている
(所基通37-5)が、固定資産税は、その年の1月1日における所有者に課税する
とされている(地方税法343、359)ことから、年の中途で不動産を売買した場合で
買主が当該不動産に係る固定資産税相当額を所有期間等であん分して売主に支払ったとしても
買主は、その不動産に係る固定資産税の納税義務者ではないので所基通37-5は適用されない。
事例の場合、買主が支払った固定資産税相当額は
当該不動産の取得価額に算入することとなる。
(出典:大阪国税局「個人課税関係 令和2年版 誤りやすい事例 所得税法」)
令和4年1月から一定の要件を満たせば領収書と請求書を捨ててもOK
令和3年度改正で抜本的に要件が緩和されたスキャナ保存制度要件が
大きく緩和されました。
スキャナで読み取った請求書等に係る電磁的記録を保存していれば
紙の請求書等の保存がなくとも消費税の仕入税額控除ができます
この制度は、取引の相手先から受け取った請求書等及び自己が作成した
これらの写し等の国税関係書類(決算関係書類を除く)について
書面による保存の代わりに一定の要件の下でスキャン文書による
保存を認めました。
現行の区分記載請求書等保存方式で、消費税の仕入税額控除の要件を満たすには
原則として紙の請求書等の保存が必要です
しかし、改正電子帳簿保存法により取引先から受け取った請求書等
に係る電磁的記録を保存している場合は、その基となった書類を
保存していない場合でも仕入税額控除の適用を受けることができます。
この取扱いは改正スキャナ保存制度がスタートする令和4年1月以後も変わりません。
従業員へのテレワーク費用支給と現物給与の関係
[相談]
当社では、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策としてテレワークを推進しています。
このテレワークに関する諸費用の負担について
当社のテレワーク勤務規程では次のとおり定められています。
- 1.テレワークに必要なパソコン等の情報通信機器は、会社が従業員に貸与する
- 2.上記の情報通信機器の使用に伴って生じるインターネット回線接続費用等(通信費)は
- 会社が負担する
- 3.通信費以外の費用については、従業員負担とする
- 上記のうち、会社が負担することとなっている通信費について
- 所得税法上の現物給与として取り扱われる場合があると聞きましたが
- それはどのような場合でしょうか。教えてください。
[回答]
従業員に支給する通信費が、テレワークの有無にかかわらず一律で支給されるものであったり
テレワークに通常必要な費用を超える金額であったりする場合には
現物給与として所得税の課税対象となります
[解説]
1.現物給与とは
所得税法上、給与収入には金銭収入だけでなく、金銭以外の物・権利
その他経済的な利益も含めることと定められています。
この金銭収入以外で給与収入に含まれるもの(経済的利益)のことを
一般に「現物給与」といいます。
この現物給与については、原則として所得税が課税されますが
交通機関を利用している人に支給する通勤用定期乗車券など
一定のものについては非課税とされています。
2.テレワークに伴って会社が負担する通信費の取扱い
新型コロナウイルス感染症拡大防止のためテレワークを導入する企業が増えたことに伴い
国税庁は令和3年1月に「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」を公表しました。
その中で、在宅勤務費用を企業が負担した場合の取扱いについては
次のとおりとされています。
- 1.在宅勤務に通常必要な費用について、その費用の実費相当額を精算する方法により
- 企業が従業員に対して支給する一定の金銭については
- 従業員に対する給与として課税する必要がないこと
- 2.一方で、例えば企業が従業員に対して毎月5,000円を渡切りで支給するものなど
- 従業員が在宅勤務費用として使用しなかった場合でもその金銭を企業に返還する必要がないものを
- 支給した場合には、従業員に対する給与として課税する必要があること
- 3.インターネット接続に係る通信料について、基本使用料やデータ通信料などについては
- 業務のために使用した部分を合理的に計算する必要があること
このため、今回のご相談の場合、御社が負担することとなっている通信費が
テレワークの有無にかかわらず一律で支給されるものであったり
テレワークに通常必要な費用を超える金額であったりする場合には
現物給与として所得税の課税対象となる可能性があります。
改正された所得拡大促進税制における税額控除額
[相談]
令和3年4月1日以降に開始する事業年度から、中小企業者等について
所得拡大促進税制(給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除)が改正されていますが
その改正後の制度における税額控除額について教えてください。
[回答]
ご相談の改正後の所得拡大促進税制の税額控除額は
その事業年度の控除対象雇用者給与等支給増加額の15%相当額となります。
[解説]
1.改正後の所得拡大促進税制の適用要件
令和3年度税制改正後(令和3年4月1日以降に開始する事業年度)の所得拡大促進税制については
その適用要件が「雇用者給与等支給額」の増加要件に一本化されました。
具体的には、中小企業者等の場合、雇用者給与等支給額が前年度と比べて
1.5%以上増加していることが必要とされています。
2.改正後の所得拡大促進税制の税額控除額の計算方法
上記1.の改正後の税額控除額は、原則として
その中小企業者等のその事業年度の控除対象雇用者給与等支給増加額(※1)の15%と定められています。
なお、その税額控除額は、その中小企業者等のその事業年度の所得に対する
調整前法人税額の20%が上限となります。
- ※1 控除対象雇用者給与等支給増加額とは、その中小企業者等の雇用者給与等支給額から
- その中小企業者等の比較雇用者給与等支給額を控除した金額(※2)をいいます。
- ※2 ※1の金額がその中小企業者等の適用年度の調整雇用者給与等支給増加額
- (※3)を超える場合には、その調整雇用者給与等支給増加額が上限となります。
- ※3 調整雇用者給与等支給増加額とは、雇用安定助成金額を控除した雇用者給与等支給額から
- 雇用安定助成金額を控除した比較雇用者給与等支給額を控除した金額をいいます。
-
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令和3年分源泉徴収票からスマホ撮影で自動転記が可能となります
納税者の利便性向上や転記ミスの軽減効果
国税庁は、スマートフォンのカメラ機能により紙の源泉徴収票を読み取ることで
必要項目がデータ上に自動転記できるシステムを導入するようです。
令和3年分の所得税の確定申告から対応できるようにする見込みです。
同システムを利用することで
納税者は紙の源泉徴収票に記載された金額等を転記する手間が省略化され
転記ミスの防止にもつながるようです。
2022年1月上旬からシステム始動
デジタルを活用した国税に関する手続や業務の見直しとして
国税庁は「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション-税務行政の将来像2.0-」
の中で税務手続等のデジタル化を掲げていました。
令和2年度・3年度予算において同システムの構想を進めており
2022年1月上旬から本格的に活用を始める見込みです。
同システムは,スマートフォンのカメラ機能を利用するようです
①納税者は、まずスマホ端末から申告データが作成できる国税庁HPの
“確定申告書等作成コーナー”にアクセスします。
②次に、紙の源泉徴収票をカメラで撮影することによって
記載されている支払金額や各種控除額等の文字認識が行われ
必要事項が自動的に転記されます。
これまでは申告書類に紙の源泉徴収票の記載内容を一つひとつ転記する必要がありました。
今後はこうした入力の手間を省略することができ、記載漏れや転記ミスが防止できます
ただし、同システムの利用は源泉徴収票に記載された部分の申告データの作成に限られます
他の所得や医療費控除等の各種控除手続については別途入力する必要があるようです。
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令和3年7月以降の税務調査対応について
令和3年7月以降の中小企業への税務調査について
現在、新型コロナウイルス感染症の拡大防止などの観点から
国税局の調査課所管法人(資本金1億円以上の法人のことです)に対する実地調査では
調査官が調査対象の会社に訪問したうえで会社のWEB会議システムを用いる
“臨場型”リモート調査が行われることがあります
国税庁は全国税局等に税務署所管の中小規模の法人に対しても
本年7月から臨場型リモート調査を認める旨を連絡しているようです。
法人の規模を問わず臨場型リモート調査
原則として資本金1億円以上の国税局の調査課所管法人では
コロナ禍で調査対象法人への臨場・対面の回数や時間を抑えるために
WEB会議システムを活用した臨場型リモート調査が実施されています。
具体的には、調査官が調査対象の会社を訪問してその会社が利用している
WEB会議システムを活用し、本社に勤務する従業員に対し別々の部屋から
行うリモート調査や、遠隔地の支店や工場などに勤務する従業員への
リモート調査が行われることがあります。
これまでは、一定のネットワーク環境が整えられていると考えられる
調査課所管法人(資本金1億円以上の会社)を対象に
臨場型リモート調査が行われてきました。
しかし、資本金1億円未満の中小企業でもネットワーク環境が整えられていることも考えられます
そのため、セキュリティ保全がされたWEB会議システムであることなどを前提に
資本金が1億円未満で税務署所管法人でも臨場型リモート調査の対応がとられることに
なったようです
納税者からの要望あれば,臨場型リモート調査を実施
会社が調査官に要望した場合に臨場型リモート調査が行われます
特に遠隔地の支社等の従業員等に質問をする際などでの活用が想定されています。
一方、調査で必要な資料などを現場で直接確認する必要があるなどと
判断された場合などは、会社が要望した場合であっても
臨場型リモート調査ではなく通常の対面による調査手法がとられることがあるようです
臨場型リモート調査の実施の前提
〇税務調査では機密性の高い情報のやり取りが行われることや
システムの脆弱性に起因するリスクがあることを法人が理解していること
〇機密性の高い情報のやり取りを含め
法人が通常業務で使用しているWEB会議システムを利用すること
〇法人が管理・支配する場所等で,法人が使用する機器・接続環境を利用し
セキュリティポリシーの範囲内で活用すること